環境と計量のコーナーFestival of The Measurement Day
日本における計量制度は計量法によって定められています。この法律の目的には「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与する」と書かれています。
つまり、計量制度とは我が国の国民生活・経済社会における取引の信頼性を確保し、社会生活における安全・安心の基盤となる基本的制度だといえます。
この制度の適正な運用によって、国民生活が守られ、経済や文化の発展向上を実現していくことができます。
計量証明と計量証明事業者制度
「証明」とは、公に又は業務上他人に一定の事実について真実であるということを表明することをいいます。
法定単位で計量した結果を伴って上記表明することを「計量証明」といいます。
運送・寄託・売買の目的となる貨物の積卸し・入出庫の際に行うその貨物の長さ、質量、面積・体積、熱量、工場の排ガス、排水の濃度や騒音、振動の計量など、証明が必要な物象の状態の量の計量値が計量証明の対象になります。
【計量証明の具体例】
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「計量証明事業」とは、この「計量証明」の行為を反復繰返し業(なりわい)として行うことをいいます。
当初、計量法における「計量証明事業」には一般計量証明のみが規定されていましたが、日本で公害問題が深刻化したことを契機に、昭和40年代後半、計量証明事業者及び計量士に環境区分が追加、あわせて環境計量器の検定を開始する計量法改正がおこなわれました。
これにより、一般計量証明分野と環境計量証明分野の2分野が計量証明事業の規制対象となりました。
これら計量証明事業を行う場合は、事業の区分に従い、その事業所ごとに事業所の所在地を管轄する都道府県知事に申請して、事業の登録を受けなくてはなりません。
また、平成13年には当時問題となったダイオキシンなどの極微量物質の計量証明事業への対応を図るため、一兆分の一グラム(東京ドームの中に塩の結晶一粒を探す程度)のレベルにおける極微量物質の濃度の区分が環境計量証明分野に追加されました。
この区分は特定濃度と呼ばれ、その計量証明を行うためには高度の技術が必要とされます。
このため、その証明事業を行おうとする事業者は、国又は認定機関の技術能力等の検証(認定)を受けたうえで都道府県知事に申請して、事業の登録を受けなければなりません。
【計量証明の分野と事業の区分(9区分)】
● 一般計量証明分野
「運送、寄託又は売買の目的たる貨物の積卸し又は入出庫に際して行うその貨物」に係る計量上の証明 [長さ、質量、面積、体積、熱量の5区分] ● 環境計量証明分野 「環境における有害物質の濃度、音圧レベル等」の計量上の証明 [濃度、特定濃度、音圧レベル、振動加速度レベルの4区分] |
【特定濃度の対象となる事業】
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計量証明についての詳細は、こちらの経済産業省のHPをごらんください。
東京都内の計量証明事業者の一覧はこちらから確認できます
計量証明事業については、こちらのホームページもご確認ください。
一般計量証明事業者:東京都計量証明事業協会ホームページ
環境計量証明事業者:東京都環境計量協議会ホームページ
環境と計量について
昭和時代の高度成長期がもたらした悪い遺産として“公害”があります。
有名なところでは、4大公害病(四日市ぜんそく、イタイイタイ病、水俣病、新潟(阿賀野川)水俣病)も皆様の記憶に残っているのではないでしょうか。
公害問題の深刻化を契機に、大気、水質・土壌、騒音、振動など、環境に関する様々な法律等が制定・強化されたと同時に、分析・測定に対する公正性、正確性等が求められるようになりました。
このような背景のもと環境計量証明事業制度が始まりました。
環境の計量には、大きく分けて次の4つの種類があります。
1 大気の計量
工場排煙や、自動車の排気ガス等から出る硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじん等の有害物質の測定 2 水質・土壌の計量 工場を発生源とする水質、埋立地等の土壌や、海水、河川等の自然界の水質・土壌の測定 3 騒音の計量 道路交通や航空機、鉄道、工場等の騒音を測定 4 振動の計量 道路交通や航空機、鉄道、工場等の振動を測定 |
計量方法は大気、水質・土壌、騒音、振動、(特定計量)の分野ごとに定められており、測定結果は法令に定められた基準に適合し、都道府県の登録を受けた“環境計量証明事業者”が証明します。
公害の苦情として一般的に多いのは、臭気、騒音・振動、粉じんと言われています。
身近な環境の計量の一例として騒音の計測値について見てみましょう。 騒音は、音圧レベルで表し計量の単位はデシベル(dB)です。その目安は次の通りです。
近年ではダイオキシン類、土壌汚染の問題、計量証明の対象外ではありますが放射性物質、アスベストの問題などが注目されています。
さらに異常気象による災害、工場跡地の土壌汚染、地球温暖化対策や環境保護のためにCO2の排出量を国と国との間で売買する及び海洋プラスチックごみ問題、SDGs(持続可能な開発目標)等、地球環境についての報道を耳にすることが多くなってきました。
地球環境を維持・向上させ、私たちの暮らしを守るため、有害物質等の濃度や、振動・騒音レベル等を正確に把握した測定結果が各種計画及び施策に活かされ、「環境計量」の重要性が増す中で、専門知識を有する「環境計量士(濃度/騒音・振動)」の活躍がますます期待されます。
海洋プラスチックごみ汚染問題
東京計量士会では地球環境を取り巻く様々な問題について取り組んでいます。今年は近年大きな問題となっている海洋プラスチックごみ汚染問題についてご紹介します。
1 海洋プラスチックごみの実態
波とともに押し寄せ、海岸を埋め尽くすゴミの山、洋上はるかな無人島にも打ち上げられるペットボトルなどの容器、海流に何千キロも流され浮遊するビニール袋、海底に堆積する大量のマイクロプラスチック、皆さんもテレビやネットの動画などで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
今、これらの海に流入する大量のプラスチックが「海洋ごみ」となって世界的な環境汚染問題となっています。2015年9月に国連サミットで採択された持続可能な開発目標「SDGs」では、世界の国々が2030年までに達成すべき17の目標の14番目に「海の豊かさを守ろう」を掲げています。現在、多くのプラスチック製品を生産・消費している日本は、国際的にも大きな責任を持たなくてはならない国の一つのとして、この問題解決に向けて早急に対応していく必要があります。
海洋中のプラスチックごみの約7割は私たちが住む街中からのものだと言われています。プラスチックは手軽で耐久性に富み、安価に生産できることから、私たちの生活に欠かせないものとなっています。製品以外にも包装や発泡スチロール等緩衝材として、幅広く使われています。しかし、これらの包装材などの多くは使用後にきちんと処理されず、環境中に流出されてしまうことが少なくありません。そしてこの流出したプラスチックの多くが、河川などに流出してそれらが最終的に行き着く場所、それが「海」なのです。
すでに世界の海に存在しているプラスチックごみの量は、なんと1億5千万トンと言われ、環境省によれば、毎年さらに800万トンのプラスチックごみが新たに海に流入していると推定されています。この状況が続けば、約30年後の2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が、海の魚の重量を超えるだろうという試算もあります。
こうした大量のプラスチックごみは、既に海の生態系に甚大な影響を与えています。多くの魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメ等が廃棄された漁網や釣り糸に絡まったり、ポリ袋を餌と間違えて摂取し、少なくとも約700,種類の海洋生物のうち92%が何らかの形で傷つけられたり死んだりしていると言われています。例えばウミガメのプラスチックごみの摂取率は52%、海鳥では90%と推定されています。
海鳥の胃にぱんぱんに詰まったプラスチックの破片、浜に打ち上げられたクジラの胃袋から出てきた何百枚ものレジ袋、サンゴに挟まったペットボトル、ゴーストネットと呼ばれる廃棄漁網に絡まって身動き取れない海カメ、魚や二枚貝の中からも検出される小さなマイクロプラスチック、人間の便からも既に5ミリメートル以下のマイクロプラスチックが検出されている実態があります。今後、人体にどのような影響を及ぼす恐れがあるのか、今やプラスチック汚染は、生態系への大きな脅威となっており、世界中で研究が続いています。
2 「マイクロプラスチック」とは?
(出典:環境省公式サイト)
流出したプラスチックごみは、海岸の波や紫外線等の影響を受け、やがて小さなプラスチック粒子となり、細かくなっても自然分解することなく、何百年以上も自然界に残り続けると考えられています。このように微細なプラスチックのうち5 mm以下になったものを「マイクロプラスチック」と呼び、一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックに分類されます。
a 一次マイクロプラスチック
歯磨き粉、洗顔剤、に含まれるスクラブやマイクロビーズ等で排水を通じて自然環境中に流出するもので回収は困難である。 b 二次マイクロプラスチック ペットボトルやビニール袋等が自然環境中で紫外線等の影響で破砕され細分化されたもので細分化される前なら回収は可能である。 |
プラスチック自体は100種類以上ありますが、マイクロプラスチックのもとになるのは「4大プラスチック(汎用樹脂)」と呼ばれる原料になります。プラスチックの種類と、それの使用されている製品は次のとおりです。
① ポリスチレン(PS) ハンガー、食品用トレー等
②-1 高密度ポリエチレン(HDPE) バケツ、洗剤ボトル、灯油タンク等 ②-2 低密度ポリエチレン(LDPE) レジ袋、ラップ等 ③ ポリエチレンテレフレタート(PET) ペットボトル、卵パックなど、包装フイルム等 ④ ポリプロピレン(PP) ストロー、ペットボトルキャップ、文具、医療器具等 |
3 海洋プラスチックごみの発生源
(出典:プラスチック循環利用協会)
魚をはじめとした海洋生物がこのマイクロプラスチックを取り込んでいるということは、それらの魚を食べる私たちの体内にもマイクロプラスチックを取り入れていることになります。プラスチックは消化されないため、排泄されなかった場合は体内に蓄積されてしまいます。
この海洋プラスチックごみは、アジア諸国から発生したものが全体の82%を占めているとされ、特に深刻な問題を引き起こしています。この結果は、海に隣接する国々から排出される量が非常に多いことが原因となっています。
それでは、この発生量が多い国はどこでしょうか。一般的に、隣国の中国が陸上から東アジア海域にプラスチックごみを流出させ、特に深刻な汚染状況を作り出しているといわれています。
具体的にプラスチックごみの発生量を見てみると、発生量第1位の中国は年間132~353万トン、2位インドネシア48~129万トン、3位フィリピン28~75万トン、日本は30位で2~6万トンですとなっています。一方、プラスチック生産量では日本は世界第3位で、特に容器包装プラスチックごみの発生量では世界第2位となっていています。このことからも、日本はこの問題に国際的な責任を持たなくてはならないと考えられます。
日本では、廃棄されるプラスチックの有効利用率が84%と特に進んでいるとされていますが、全体の約58%は燃焼させてエネルギーを回収するものです。しかし見方を変えれば、このことによって逆に二酸化炭素を排出しているということに繋がり、地球温暖化防止の視点から見ると、とても資源の有効活用をしているとは言えません。
4 ごみ削減と計量について
このプラスチックごみ問題を解決するために必要なことは、「3つのR」すなわち「1.リデュース:ゴミの総量を減らすこと。2.リユース:再利用すること。3.リサイクル:再生産に回すこと」だと言われています。この3Rを基本に徹底することがプラスチックを減らすことにつながるのです。
今、日本では、この問題を未来の世代に残さないよう、解決のための取り組みの強化が求められています。計量の面でこの問題について何ができるでしょうか。正確に計量することで各種の無駄やロスを減らしてごみの総量を減らし、正確な計量器や計量標準を供給することでリユース・リサイクルなど海洋ゴミの削減のための最新技術の研究開発を推進することができます。私たち計量士はこれらに貢献できるよう、日々努めていきたいと考えています。
マイクロプラスチックについては、こちらもご覧ください。
東京都環境計量協議会:「マイクロプラスチックの環境影響について」(PDF)
東京くらしネット: 平成29年7月号「マイクロプラスチックによる海洋への影響」
地球温暖化防止(脱炭素社会に向けて)
次は、地球環境を取り巻く様々な問題のうち東京計量士会が主に取り組んでいる地球温暖化防止についてご紹介します。
2021年のノーベル物理学賞を米国プリンストン大学上級研究員の真鍋淑郎さんが受賞したことで、新たに関心を持たれた方も多いと思います。真鍋さんが1960年代に地球の大気の状況の変化をコンピューターで再現する方法を開発し、大気中の二酸化炭素(CO2)が増えると地表の温度が上がることを数値で示しました。
この真鍋先生の予想通り地球温暖化が進み、数十年前から多方面に対し負の影響が出ていることが報告されています。現在では、世界中の人々が少なからずそのことを認識し、その防止に取り組んでいます。
地球温暖化をもたらす物質は色々ありますが、元凶は主に二酸化炭素です。この削減が温暖化防止の切り札として認識されています。
それでは、その二酸化炭素とはどのようにして生じるのでしょうか。
現在の私たちの豊かな生活を支える原動力となる強大なエネルギーが必要ですが、そのエネルギーの大半を石油や石炭といった化石燃料を燃焼させて得ています。その燃焼により膨大な煙が大気中に放出され、その煙に多量に含まれているのが二酸化炭素なのです。
この地球で産業革命以来約200年間もずっと排出され続けてきた二酸化炭素の濃度は、200年前の2倍以上の濃度となって我々の周囲を取り囲んでいる状況です。近年、報道で目にするとおり、既に多くの自然環境が後戻り難しいほどの悪影響を受けているのもまた、少なからず認識しているところです。
当会ではそのことについて広く都民の皆様に知っていただくため、「都民計量のひろば」の会場に「南極の氷」を取り寄せ、混ざり気のない純粋な1万年前の氷に来場者に触れていただく等、試みてきましたが、今年は残念ながら触っていただくことが出来ません。
また、我々の地球は現在どうなっているのか、そして我々はどうすればいいのか、の指標として地球温暖化防止の様々な取り組みと、再生可能なエネルギーの利用等、さらにご理解を深め、また多くの情報を提供するため以下の協会とリンクし紹介しています。皆様方の積極的なアクセスにより脱炭素社会の実現に貢献出来ればと願っています。
一昨年度の「地球環境について:南極の氷」コーナー
地球温暖化に関する情報については、こちらをご覧ください。
東京都の地球温暖化の取り組み対策(東京都環境局)はこちらから
気候変動の影響:水害問題
地球温暖化に起因する問題点として、「気象変動の影響」に関するものがあります。気象庁によると、1時間に50mm以上の短時間強雨の発生件数は、約30年以上前の約1.4倍に増えていて、これを気象変動の影響とみる専門家は少なくありません。
記憶に新しいところでは、2018年の西日本豪雨に続き、2019年に襲った首都圏を含む東日本台風は、「気象変動の世紀」到来を感じさせる出来事でした。ちなみに、2019年の全国の水災害(洪水、内水、高潮、津波、土石流、地滑り等)による被害額は約2兆1800億円で、津波以外の年間水害被害額は統計開始以来最大となっています。
東京都建設局 資料「東京を守る河川施設」より
このような背景もあり、国も本腰を入れて気象変動対策に取り組み始めています。国交省はこのような危機的状況に対して治水対策の大転換「流域治水」の推進に踏み切りました。流域治水とは簡単に言えば、堤防の整備や強化、川底の掘削以外に川の外(堤内,氾濫域)の水災害対策を講じることで(1)「氾濫をなるべく防ぎ、減らす対策」土地の利用規制や移転の促進、金融の誘導等で(2)「被害対策を減少させる対策」土地リスク情報の提供、避難体制の強化による(3)「被害の軽減、早期復旧、復興のための対策」の3つの対策からなります。国交省のこれらの対策は早急に実施していただくようお願いしたいところです。(出典:日経BP)
東京都管内の河川 東京都の河川はその地勢から、概ね西部に源を発して東京湾に注いでいます。そのうち、国土交通大臣が指定する一級河川としての多摩川水系、荒川水系、利根川水系、鶴見川水系の92河川、都知事が指定する二級河川としての15河川があり、合計すると、都内の河川は107河川、約858kmになります。 このうち、荒川や利根川など、国土交通省が管理する河川を除く105河川、約711kmを東京都が管理しています。 |
東京都内の将来の降雨量予測 (令和4年8月 東京都環境審議会答申 「東京都環境基本計画のあり方について」より)
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ここで、台風等豪雨による河川堤防の決壊原因について次のように考察してみました。報道によれば「想定外の豪雨によるものだ」「50年に一度の豪雨のため堤防を越水した」「河川の合流地点は水はけ悪くバックウオーターが発生したためだ」等々いずれも集中豪雨だけが原因と決めつけていますが果たしてそうでしょうか? 当たり前ですが雨が降れば河川は増水します。しかしどうして堤防が決壊するほどの増水になったのでしょうか? その答えは次の2つが考えられます。
一つめは、「土砂の堆積による川底の底上げ」によるものです、台風は毎年やってきます。そのたびに濁流が大量の土砂を運んできて中下流域にその土砂を堆積させます。今や日本の河川は天井川になりつつあるのです。どこの川でも上流に行くと必ず堰堤や砂防ダムがあります。しかしそれらの多くは多量の土砂が堆積し埋没しているのです。それほどの土砂や砂利が毎年上流のから流れてくるのです。勿論砂防ダムは流れてくる土砂をそこで食い止める大事な役目をはたしています。国や自治体では浚渫工事などを行い、溜まった土砂などを取り除くよう努めていますが、近年の土砂災害の増加で工事が間に合わず、多くの砂防ダムは土砂で満杯になり埋没し、お役目御免の状態となっています。
二つめは、「中洲の河川敷利用」によるものです。川は蛇行しますので条件が整うと中洲ができます。その河川敷の中洲に多くのゴルフ場や野球場、公園などが作られているのを目にします。本来水が流れていたところに土砂が堆積したのを幸いに自分たちの都合のいいように広げ改良して利用しているのです。一方、ゴルフ場などに利用されていない中州にはいろいろな樹木や雑草が生い茂り、林や森があちこちの川に出現しています。これはいかに土砂が堆積し川底が上がっているか、つまり長年自然に任せ、野放しにしてきたかという河川管理を怠ってきたことの結果そうなったものなのです。
洪水の発生理由は、築かれた堤防が低いから越水したという単純な理由だけではなく、土砂の堆積で川底が浅くなりその結果堤防が相対的に低くなったことで越水したのも一つの理由と考えられます。つまり、単に想定外の豪雨のため堤防が決壊したのではなく、土砂の堆積で水はけが悪くなり、平常時でも以前より川の水位が高くなり、さらに中州を広げ水路を妨げたから大量の水を流しきれなくなるという、当初の堤防設計時と異なる条件となったことで、堤防が決壊に至ったというのが理由として考えられるのです。
わが国から堤防決壊による洪水をなくす最良の方法の一つは、川底を大胆に浚渫し掘り下げること、そして、堆積で出来た中州を大幅に削り取り、水路を広げ水流を妨げないように元の川に返してあげることです。その浚渫で出た砂利等は、建設資材になり堤防強化に利用でき、洪水予防と一石二鳥になるはずです。現在の環境状況を考えると、これまで同様に決定までに超時間を要する国や自治体の対策を待っていたのでは間に合わないという危機感を感じます。すぐに始めないとまた台風がやってきます。低気圧による線状降水帯が発生し、道が川になり川が氾濫して再び大洪水にならないように、速やかに始めてほしいと強く要望したいと考えます。
さて、最近洪水ハザードマップが話題になっていますが、ご存じのようにマップは現在お住いの場所が洪水時に水没するか床上浸水等になるかを色分けして分かるようにしたものです。現在の住居がマップ上で危険地域に染まっているからと言ってすぐに転居できるものではありません。しかし、これを踏まえ、危険発生時にどのように対処するかを事前に想定し、対策を家族で確認しておくことで最小の被害に抑えることは可能です。また、新規に住居を求めるときにも、大いに参考にしていただきたいと思います。過去に水害が出た地域は、再発の可能性が高いので注意が必要です。その後の水害対策がどの程度行われたのかなどをよく調べて慎重に判断することが、自分の命を守ることにつながるのではないでしょうか。
東京都の河川事業、ハザードマップなどについては、東京都建設局のホームページでご確認ください
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