Web版「都民計量のひろば」2021Festival of The Measurement Day

環境と計量のコーナー

計量証明と計量証明事業者制度 環境と計量について

海洋プラスチックごみ汚染問題  地球温暖化防止


日本における計量制度は計量法によって定められています。この法律の目的には「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与する」と書かれています。

つまり、計量制度とは我が国の国民生活・経済社会における取引の信頼性を確保し、社会生活における安全・安心の基盤となる基本的制度だといえます。

この制度の適正な運用によって、国民生活が守られ、経済や文化の発展向上を実現していくことができます。


計量証明と計量証明事業者制度


「証明」とは、公に又は業務上他人に一定の事実について真実であるということを表明することをいいます。

法定単位で計量した結果を伴って上記表明することを「計量証明」といいます。

運送・寄託・売買の目的となる貨物の積卸し・入出庫の際に行うその貨物の長さ、質量、面積・体積、熱量、工場の排ガス、排水の濃度や騒音、振動の計量など、証明が必要な物象の状態の量の計量値が計量証明の対象になります。

【計量証明の具体例】

  • 官公庁が一般に公表するために行う濃度等の計量
  • 官公庁に対する報告のための計量(産業廃棄物の排出量、環境基準適合など)
  • 国税庁が行う酒税賦課のためのアルコール濃度の計量
  • 土地の登記に際して行う面積の計量
  • 工場等が行政機関に報告するために行う排水量の計量
  • 病院や学校において行われる体重測定の結果が、健康診断票に示され通知、報告等される場合の体重の計量

「計量証明事業」とは、この「計量証明」の行為を反復繰返し業(なりわい)として行うことをいいます。

当初、計量法における「計量証明事業」には一般計量証明のみが規定されていましたが、日本で公害問題が深刻化したことを契機に、昭和40年代後半、計量証明事業者及び計量士に環境区分が追加、あわせて環境計量器の検定を開始する計量法改正がおこなわれました。

これにより、一般計量証明分野と環境計量証明分野の2分野が計量証明事業の規制対象となりました。

これら計量証明事業を行う場合は、事業の区分に従い、その事業所ごとに事業所の所在地を管轄する都道府県知事に申請して、事業の登録を受けなくてはなりません。

また、平成13年には当時問題となったダイオキシンなどの極微量物質の計量証明事業への対応を図るため、一兆分の一グラム(東京ドームの中に塩の結晶一粒を探す程度)のレベルにおける極微量物質の濃度の区分が環境計量証明分野に追加されました。

この区分は特定濃度と呼ばれ、その計量証明を行うためには高度の技術が必要とされます。

このため、その証明事業を行おうとする事業者は、国又は認定機関の技術能力等の検証(認定)を受けたうえで都道府県知事に申請して、事業の登録を受けなければなりません。

【計量証明の分野と事業の区分(9区分)】

● 一般計量証明分野

「運送、寄託又は売買の目的たる貨物の積卸し又は入出庫に際して行うその貨物」に係る計量上の証明

   [長さ、質量、面積、体積、熱量の5区分]

● 環境計量証明分野

「環境における有害物質の濃度、音圧レベル等」の計量上の証明

   [濃度、特定濃度、音圧レベル、振動加速度レベルの4区分]

【特定濃度の対象となる事業】

  1. 大気、水、または土壌中のダイオキシン類の濃度の計量証明の事業(ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第2条第1項に規定するダイオキシン類)
  2. 大気、水又は土壌中の1・2・4・5・6・7・8・8-オクタクロロ-2・3・3a・4・7・7a-ヘキサヒドロ-4・7-メタノ-1H-インデン(別名クロルデン)、1・1・1-トリクロロ-2・2-ビス(4-クロロフェニル)エタン(別名DDT)又は1・4・5・6・7・8・8-ヘプタクロロ-3a・4・7・7a-テトラヒドロ-4・7-メタノ-1H-インデン(別名ヘプタクロル)の濃度の計量証明の事業

計量証明についての詳細は、こちらの経済産業省のHPをごらんください。


東京都内の計量証明事業者の一覧はこちらから確認できます

● 一般計量証明事業者    ● 環境計量証明事業者


計量証明事業については、こちらのホームページもご確認ください。

一般計量証明事業者:東京都計量証明事業協会ホームページ

環境計量証明事業者:東京都環境計量協議会ホームページ


環境と計量について


昭和時代の高度成長期がもたらした悪い遺産として“公害”があります。

有名なところでは、4大公害病(四日市ぜんそく、イタイイタイ病、水俣病、新潟(阿賀野川)水俣病)も皆様の記憶に残っているのではないでしょうか。

公害問題の深刻化を契機に、大気、水質・土壌、騒音、振動など、環境に関する様々な法律等が制定・強化されたと同時に、分析・測定に対する公正性、正確性等が求められるようになりました。

このような背景のもと環境計量証明事業制度が始まりました。

環境の計量には、大きく分けて次の4つの種類があります。 

 大気の計量

工場排煙や、自動車の排気ガス等から出る硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじん等の有害物質の測定

 水質・土壌の計量

工場を発生源とする水質、埋立地等の土壌や、海水、河川等の自然界の水質・土壌の測定

 騒音の計量

道路交通や航空機、鉄道、工場等の騒音を測定

 振動の計量

道路交通や航空機、鉄道、工場等の振動を測定

計量方法は大気、水質・土壌、騒音、振動、(特定計量)の分野ごとに定められており、測定結果は法令に定められた基準に適合し、都道府県の登録を受けた“環境計量証明事業者”が証明します。

公害の苦情として一般的に多いのは、臭気、騒音・振動、粉じんと言われています。

<身近な環境の計量の一例として騒音の計測値について見てみましょう。 騒音は、音圧レベルで表し計量の単位はデシベル(dB)です。その目安は次の通りです。

【環境計量値の例(騒音)】

近年ではダイオキシン類、土壌汚染の問題、計量証明の対象外ではありますが放射性物質、アスベストの問題などが注目されています。

さらに異常気象による災害、工場跡地の土壌汚染、地球温暖化対策や環境保護のためにCO2の排出量を国と国との間で売買する及び海洋プラスチックごみ問題、SDGs(持続可能な開発目標)等、地球環境についての報道を耳にすることが多くなってきました。

地球環境を維持・向上させ、私たちの暮らしを守るため、有害物質等の濃度や、振動・騒音レベル等を正確に把握した測定結果が各種計画及び施策に活かされ、「環境計量」の重要性が増す中で、専門知識を有する「環境計量士(濃度/騒音・振動)」の活躍がますます期待されます。


海洋プラスチックごみ汚染問題


東京計量士会では地球環境を取り巻く様々な問題について取り組んでいます。今年は近年大きな問題となっている海洋プラスチックごみ汚染問題についてご紹介します。

1 海洋プラスチックごみの実態

伊豆諸島の海洋ゴミ

伊豆諸島の海洋ゴミ(出展:東京都環境局)

波とともに押し寄せ、海岸を埋め尽くすゴミの山、洋上はるかな無人島にも打ち上げられるペットボトルなどの容器、海流に何千キロも流され浮遊するビニール袋、海底に堆積する大量のマイクロプラスチック、皆さんもテレビやネットの動画などで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

今、これらの海に流入する大量のプラスチックが「海洋ごみ」となって世界的な環境汚染問題となっています。2015年9月に国連サミットで採択された持続可能な開発目標「SDGs」では、世界の国々が2030年までに達成すべき17の目標の14番目に「海の豊かさを守ろう」を掲げています。現在、多くのプラスチック製品を生産・消費している日本は、国際的にも大きな責任を持たなくてはならない国の一つのとして、この問題解決に向けて早急に対応していく必要があります。

海洋中のプラスチックごみの約7割は私たちが住む街中からのものだと言われています。プラスチックは手軽で耐久性に富み、安価に生産できることから、私たちの生活に欠かせないものとなっています。製品以外にも包装や発泡スチロール等緩衝材として、幅広く使われています。しかし、これらの包装材などの多くは使用後にきちんと処理されず、環境中に流出されてしまうことが少なくありません。そしてこの流出したプラスチックの多くが、河川などに流出してそれらが最終的に行き着く場所、それが「海」なのです。

すでに世界の海に存在しているプラスチックごみの量は、なんと1億5千万トンと言われ、環境省によれば、毎年さらに800万トンのプラスチックごみが新たに海に流入していると推定されています。この状況が続けば、約30年後の2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が、海の魚の重量を超えるだろうという試算もあります。

出展:東京くらしネット

こうした大量のプラスチックごみは、既に海の生態系に甚大な影響を与えています。多くの魚類、海鳥、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメ等が廃棄された漁網や釣り糸に絡まったり、ポリ袋を餌と間違えて摂取し、少なくとも約700,種類の海洋生物のうち92%が何らかの形で傷つけられたり死んだりしていると言われています。例えばウミガメのプラスチックごみの摂取率は52%、海鳥では90%と推定されています。

海鳥の胃にぱんぱんに詰まったプラスチックの破片、浜に打ち上げられたクジラの胃袋から出てきた何百枚ものレジ袋、サンゴに挟まったペットボトル、ゴーストネットと呼ばれる廃棄漁網に絡まって身動き取れない海カメ、魚や二枚貝の中からも検出される小さなマイクロプラスチック、人間の便からも既に5ミリメートル以下のマイクロプラスチックが検出されている実態があります。今後、人体にどのような影響を及ぼす恐れがあるのか、今やプラスチック汚染は、生態系への大きな脅威となっており、世界中で研究が続いています。

2 「マイクロプラスチック」とは?

(出典:環境省公式サイト)

マイクロプラスチック

                 出典:環境省

流出したプラスチックごみは、海岸の波や紫外線等の影響を受け、やがて小さなプラスチック粒子となり、細かくなっても自然分解することなく、何百年以上も自然界に残り続けると考えられています。このように微細なプラスチックのうち5 mm以下になったものを「マイクロプラスチック」と呼び、一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックに分類されます。

 a 一次マイクロプラスチック

歯磨き粉、洗顔剤、に含まれるスクラブやマイクロビーズ等で排水を通じて自然環境中に流出するもので回収は困難である。

 b 二次マイクロプラスチック

ペットボトルやビニール袋等が自然環境中で紫外線等の影響で破砕され細分化されたもので細分化される前なら回収は可能である。

プラスチック自体は100種類以上ありますが、マイクロプラスチックのもとになるのは「4大プラスチック(汎用樹脂)」と呼ばれる原料になります。プラスチックの種類と、それの使用されている製品は次のとおりです。

①   ポリスチレン(PS)     ハンガー、食品用トレー等

②-1 高密度ポリエチレン(HDPE)     バケツ、洗剤ボトル、灯油タンク等

②-2 低密度ポリエチレン(LDPE)      レジ袋、ラップ等

③   ポリエチレンテレフレタート(PET)      ペットボトル、卵パックなど、包装フイルム等

④   ポリプロピレン(PP)    ストロー、ペットボトルキャップ、文具、医療器具等

3 海洋プラスチックごみの発生源

(出典:プラスチック循環利用協会)

魚をはじめとした海洋生物がこのマイクロプラスチックを取り込んでいるということは、それらの魚を食べる私たちの体内にもマイクロプラスチックを取り入れていることになります。プラスチックは消化されないため、排泄されなかった場合は体内に蓄積されてしまいます。

この海洋プラスチックごみは、アジア諸国から発生したものが全体の82%を占めているとされ、特に深刻な問題を引き起こしています。この結果は、海に隣接する国々から排出される量が非常に多いことが原因となっています。

それでは、この発生量が多い国はどこでしょうか。一般的に、隣国の中国が陸上から東アジア海域にプラスチックごみを流出させ、特に深刻な汚染状況を作り出しているといわれています。

具体的にプラスチックごみの発生量を見てみると、発生量第1位の中国は年間132~353万トン、2位インドネシア48~129万トン、3位フィリピン28~75万トン、日本は30位で2~6万トンですとなっています。一方、プラスチック生産量では日本は世界第3位で、特に容器包装プラスチックごみの発生量では世界第2位となっていています。このことからも、日本はこの問題に国際的な責任を持たなくてはならないと考えられます。

日本では、廃棄されるプラスチックの有効利用率が84%と特に進んでいるとされていますが、全体の約58%は燃焼させてエネルギーを回収するものです。しかし見方を変えれば、このことによって逆に二酸化炭素を排出しているということに繋がり、地球温暖化防止の視点から見ると、とても資源の有効活用をしているとは言えません

4 ごみ削減と計量について

このプラスチックごみ問題を解決するために必要なことは、「3つのR」すなわち「1.リデュース:ゴミの総量を減らすこと。2.リユース:再利用すること。3.リサイクル:再生産に回すこと」だと言われています。この3Rを基本に徹底することがプラスチックを減らすことにつながるのです。

今、日本では、この問題を未来の世代に残さないよう、解決のための取り組みの強化が求められています。計量の面でこの問題について何ができるでしょうか。正確に計量することで各種の無駄やロスを減らしてごみの総量を減らし、正確な計量器や計量標準を供給することでリユース・リサイクルなど海洋ゴミの削減のための最新技術の研究開発を推進することができます。私たち計量士はこれらに貢献できるよう、日々努めていきたいと考えています。


マイクロプラスチックについては、こちらもご覧ください。

東京都環境計量協議会:「マイクロプラスチックの環境影響について」(PDF)

東京くらしネット: 平成29年7月号「マイクロプラスチックによる海洋への影響」

東京都の海ごみ対策(東京都環境局)はこちらから


地球温暖化防止(脱炭素社会に向けて)


次は、地球環境を取り巻く様々な問題のうち東京計量士会が主に取り組んでいる地球温暖化防止についてご紹介します。

今年のノーベル物理学賞を米国プリンストン大学上級研究員の真鍋淑郎さんが受賞したことで、新たに関心を持たれた方も多いと思います。真鍋さんが1960年代に地球の大気の状況の変化をコンピューターで再現する方法を開発し、大気中の二酸化炭素(CO2)が増えると地表の温度が上がることを数値で示しました。

この真鍋先生の予想通り地球温暖化が進み、数十年前から多方面に対し負の影響が出ていることが報告されています。現在では、世界中の人々が少なからずそのことを認識し、その防止に取り組んでいます。

地球温暖化をもたらす物質は色々ありますが、元凶は主に二酸化炭素です。この削減が温暖化防止の切り札として認識されています。

それでは、その二酸化炭素とはどのようにして生じるのでしょうか。

現在の私たちの豊かな生活を支える原動力となる強大なエネルギーが必要ですが、そのエネルギーの大半を石油や石炭といった化石燃料を燃焼させて得ています。その燃焼により膨大な煙が大気中に放出され、その煙に多量に含まれているのが二酸化炭素なのです。

この地球で産業革命以来約200年間もずっと排出され続けてきた二酸化炭素の濃度は、200年前の2倍以上の濃度となって我々の周囲を取り囲んでいる状況です。近年、報道で目にするとおり、既に多くの自然環境が後戻り難しいほどの悪影響を受けているのもまた、少なからず認識しているところです。

当会ではそのことについて広く都民の皆様に知っていただくため、「都民計量のひろば」の会場に「南極の氷」を取り寄せ、混ざり気のない純粋な1万年前の氷に来場者に触れていただく等、試みてきましたが、今年は残念ながら触っていただくことが出来ません。

また、我々の地球は現在どうなっているのか、そして我々はどうすればいいのか、の指標として地球温暖化防止の様々な取り組みと、再生可能なエネルギーの利用等、さらにご理解を深め、また多くの情報を提供するため以下の協会とリンクし紹介しています。皆様方の積極的なアクセスにより脱炭素社会の実現に貢献出来ればと願っています。

昨年度の「地球環境について:南極の氷」コーナー


地球温暖化に関する情報については、こちらをご覧ください。

1.全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)

2.地中熱利用促進協会(NPO法人)

東京都の地球温暖化の取り組み対策(東京都環境局)はこちらから

クイズとアンケートに答えて、景品をもらっちゃおう!!

◎Web版「都民計量のひろば2021」

トップページ 健康と計量 ライフラインと計量 食品と計量

計量資料展示 計量マジック くらしの中の計量 計量雑学

◎お問い合わせ

Web版「都民計量のひろば2021」についての、お問い合わせ、ご意見、ご要望などは、 都民計量のひろば実行委員会事務局までメールでご連絡ください。

都民計量のひろば 実行委員会事務局 東京都江東区新砂3-3-41
問い合わせメールのアドレス:S0000584@section.metro.tokyo.jp